神様ソウル3
「……というわけです」
課長の家の傍の公園、ブランコを漕ぎながら私は話を締めくくった。
「……へー」
「課長は確かに変わり者でした。でも、多くの功績を残したし、部下からの人望は厚かった。私も悩みがあるといつも相談してました。でも、彼の力になってあげられる人はどこにもいなかった。私ならそれが出来たのに。こうなる前に防ぐことが出来たのに」
考えても考えても、後悔は尽きない。
「だから、私は課長を必ず天界に連れ戻さなきゃならないんです。それでまた一緒に仕事がしたいんです」
不満ならいくらでも聞いてあげるし、それを解消できるならなんだってしてあげたい。だから課長、早く戻ってきて下さい……。
「なんて言うかさぁ……」
課長が静かに口を開いた。
「テミスって、その課長のこと好きなんだな。恋愛的な意味で」
「え」
「恋だね、恋。聞けば聞くほど。力になってあげたいとか傍にいたいとか。思春期の女の子が気になる男子に対して抱く淡い想いから来るものだよ。すなわち恋」
「バカな……」
「こういうのって自分じゃ気づけないものなのかな。でも冷静に客観的に自分の言動や行動を見つめ直してみ。どう?恋する女子が思いを寄せる男子への」
「聞きたくない聞きたくない!!」
私はブランコの勢いのまま前方に飛び出し、その場から全力で逃げ出した。
「あー。ぽいよ。すごくぽい。恋してるっぽいわー」