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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第五話

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男は駆け出して街道沿いに整列している中に混じって頭を下げていた。
まどか一歩下がったところで藤子を抱いて腰を降ろしていた。近くの村人に

「立って頭を下げられませ」

と注意を受けた。

「はい、申し訳ございません」

藤次郎の隣に一緒になって立って頭を下げて馬上の光秀がゆっくりと通り過ぎるのを見ていた。

一行は10人ほどの名のある武将達だった。光秀は坂本城へ移る前に先祖の墓前に参る予定でやって来た。ちょうど市が開かれていたから馬から下りて見物を始めた。
村の長と挨拶を交わしていた。案内されていろんな釜を見物して興味のある花瓶や椀物を手にとって眺めていた。

「これはなかなかの出来栄えじゃ。頂いても構わぬか?お代はいくらじゃ?」

「いえ、明智様。そのようなもの受け取れませぬ。お持ちになって頂けるだけで光栄でございます」

「そうか・・・ではこれを差し出すゆえ代金の代わりにせよ」

光秀は懐から信長に貰った南蛮渡来の小さな容器を差し出した。

「これは!何でございましょうか?見た事がございませぬ!」

「うむ、信長公に頂いたものじゃ・・・わしも良く解らぬわい、ハハハ・・・」

偶然だがまどかは近くに居た。藤次郎は窯元の世話の手伝いで近くには居なかった。
光秀の笑い声を消すように藤子が泣き出した。
慌てて「いい子、いい子」をしていたが泣き止まないのでおっぱいをやることにした。物影まで下がって胸をはだけて乳を飲ませていた。
この歳で赤ちゃんにおっぱいを飲ませるなど、ここに来なかったら経験出来なかったことだろう。

藤子はやがて吸っていた口を離してよだれを出した。真っ直ぐに立たせて背中を叩きゲップをだして身体を左右にゆすりながらあやしていた。