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ちぎれた世界にて

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「我が国は、近隣諸国からの強い脅威に晒されているが、現実的に考えて、いざというときに日米同盟がきちんと機能するという保障は無い。そこで、異次元の世界の力を借りるつもりだったのだ」
「やれやれ、アメリカ様の次は異次元様か? 日本の国防は安心だな!」
博士の説明に尾張がツッコミを入れたが、博士は話を続ける……。
「そこで、異次元についての科学者で愛国者の私は、富永の支援の元、この世界と異次元とをつなぐ穴を作る機械を発明させたのだ」
「他力本願で国を守るのが、愛国者の考えだとは知らなかった!」
尾張がまたツッコミを入れる……。
「しかし、穴を開けた先が悪かったらしい。まさか、ゾンビまみれの世界につながってしまったとは……」
「適当な番号に電話をかけるようなものじゃないか!!!」
これは石井だ。
「すまない。その通りだ。許してくれ」
博士は泣きながら、石井に許しをこうた……。石井がどう返事すればいいのか戸惑っていると、
「マスコミに公表して、罪をつぐなってください」
高倉が静かなしっかりとした口調でそう言った……。
「誰がこんなことを信じるんだ? 110番で、異次元からゾンビがやって来たので助けてくださいと言ったら、パトカーが来てくれると思うか?」
尾張の言うとおりだった。異次元からゾンビがやって来たことなど、信じてもらえるはずが無い……。写真や動画に収めたって、よくできたCGだとか言われてオシマイだ。
「それに、富永が君たちをこのままにしておくはずがない」
博士が脅すような口調でそう言うと、
「オレたちは消されるということか?」
「そんな!!!」
石井と高倉が肩を震わせ始めた。
「じゃあ、消される前に消さないとな」
尾張はそう言うと、

   パーーーン!!!

 博士を撃ち殺した。頭を撃たれた彼は即死だった……。銃声がダクト内をこだまする……。
「なんで殺すんだよ!!! さっき、今すぐ殺さないって言ってたじゃないか!!!」
石井は尾張を責めたが、尾張は変わらぬ口調で、
「「今すぐ」ではなかっただろ?」
そう言うと、あの3人に進むように言った。3人はダクトを進み始めた。
「国際関係と同じさ。コイツがオレたちを殺さないという保障があったのか?」
尾張はそう言い残すと、3人を追いかけ始めた……。
 石井たちは、博士の死体を通らないダクトに押し込むと、尾張たちを追いかけることにした……。

作品名:ちぎれた世界にて 作家名:やまさん