ちぎれた世界にて
ミシッ!!!
そのとき、ドアがゾンビの重みできしんだ……。きしむ音が部屋中に響き渡る……。
「どいてくれ!!!」
博士が石井たちをかき分けて、ダクトに急いで入っていった……。石井は舌打ちしてから、
「ほら、おまえら先に行けよ」
宮武と高倉と女の子に促したが、高倉は首を横に振った。その理由は、彼女がスカートを履いていたからだった……。やれやれと石井は心の中で笑った。
そこで、石井は先にダクトに入り、あとの3人の少女を天井のダクトに引き上げてやることにした。女の子をダクトに引き上げて先に行かせ(その女の子もスカート履きだったが、誰も気にしなかった)、次に高倉を引き上げようとした。
バリバリバリバリィ!!!
そのとき、部屋のドアが破られ、ゾンビが部屋の中へ一斉になだれこんでくる……。
「早く!!!」
宮武は高倉をダクトへ押し上げると、
「この野郎!!!」
襲いかかってくるゾンビに殴りかかった。宮武は3匹のゾンビに顔面パンチを喰らわせて、見事倒したが、すぐに大勢のゾンビに身体中を喰いちぎられることになった……。それでも宮武は顔面パンチをゾンビにお見舞いしようとした。だが、彼女の両腕は、既に喰いちぎられて、二の腕から先が無くなっていた……。
石井と高倉は、宮武の名前を叫んだ。
「早く行け!!! 絶対死ぬんじゃないぞ!!!」
宮武がそう叫んだ次の瞬間、彼女の喉をゾンビが喰いちぎった……。
「いや〜〜〜!!!」
高倉が宮武を助けようと、ダクトから出ようとしたので、石井が必死に引き止める……。
「や…やめてくれ!」
「おまえらのせいだ!!!」
ボカッ!!!
ダクト内に、パンチの音が響き渡る……。今日友達を2人亡くした石井が、この問題の主犯格らしき博士を殴ったのだ……。石井たちと尾張たちと博士は、ダクトの中で小休止を取っていた。
「私だけでなく、富永も殴れ!」
博士は口から流れた血を拭いながら言った。
「誰なんだよ、そいつは!?」
石井が博士に問い質す。
「ロビーにいたスーツ姿の男だ。防衛省の官僚様だよ。そのマヌケのせいで、オレたちは駆り出されったわけだ」
その問いかけに答えたのは尾張だった。スーツ男は、富永という名前のようだ。
「君らのボスじゃないのか?」
どうやら、博士は、尾張たちは富永という官僚の手下だと思っていたらしい。
「違うよ。詳しいことは言えないけど、おまえらの予想をはるかに越えた組織の者だ」
尾張が博士に睨みつけながらそう言うと、
「……私と富永を殺しに来たんだろう?」
覚悟を決めた口調でそう言った……。
「……そうだ。だが、今すぐじゃない。それで、異次元との穴作りには成功したのか?」
「成功した。だから、私の望みはだいたい達成できた」
「異次元との穴作りってどういうことだ?」
「博士、こいつらに説明してやれよ。オレはたちは全て知ってるからさ」
博士は、仕方なくといった様子で説明を始めた。