小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ちぎれた世界にて

INDEX|2ページ/32ページ|

次のページ前のページ
 


 ……その1ヶ月前、どこかの地下の広い空間がある大部屋で、大掛かりなことが行なわれようとしていた……。その大部屋は、いかにも『世紀の大実験が始まるよ!!!』という空気で満ち溢れている。

 その空間のど真ん中の床には、複雑な模様の魔法円が刻み込まれていた……。そして、その魔法円の周りには、白衣の研究員たちがおり、コンピューター端末を操作しつつ、魔法円を見ている。魔法円の上には、電流がバチバチと走る金属製の突起が天井から伸びていた。

   バチバチバチバチバチバチバチバチ!!!

 その突起から激しい電流が発せられ、魔法円のど真ん中に、雷のように落ちた……。すると、激しい電流が魔法円全体を走る。
 電流は約1分間流れ続けた後に消えたが、コゲ臭い匂いがするだけで何も起きなかった。それを見た研究員たちは、ひどくがっかりした様子を見せていた。
「やはり、この方法では無理か……」
研究員たちのリーダーらしい老博士が呟いた。研究員たちの間では、ため息が漏れている。

「また失敗か!?」

 そのとき、その地下空間にスーツを来た男が、自動小銃『M4』を持った数人の覆面兵士と供にやってきた。その中年のスーツ男は、うんざりした表情で、博士の前に立つ。
「一刻も早く成功させてくれないと困るんだよ!」
スーツ男はイライラした様子で、博士に強く言った。
「どうしても必要なものがあるのですよ」
博士は平然とした口調でそう言うと、魔法円のすぐ近くに移動した。スーツ男もそこに移動すると、腕組みをし、
「何が必要なんだ? また金か?」
やれやれという口調で尋ねる。
「いいえ」
博士は即答で返す。
「じゃあ、島をもう1つ準備しろということか?」
「いいえ」
博士はまた即答する。とんでもない大ハズレだというそっけない口調だ。
「じゃあなんなんだ? 早く言え!」
博士の口調にムカッとしたスーツ男が、正答を促す。
「……人間の生贄です。それも大勢ね」
博士は、平然とした口調のまま、すらりと言い切った……。

 その博士の言葉に、スーツ男は「なに!?」と言った。研究員たちは顔を見合わせている。仕方がないという様子だ。
「本気で言っているのか?」
スーツ男は、魔法円と博士を交互に見ながら言う。たった今の博士の言葉を信じていない様子だ。

「私は本気ですよ!」

 博士は強い口調と目つきでそう言い切る……。それは、スーツ男が思わずたじろぐほどであった……。

作品名:ちぎれた世界にて 作家名:やまさん