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ちぎれた世界にて

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 石井たちと女の子が尾張に連れられて、ロビーに着いたとき、そこはゾンビの進撃により地獄絵図と化していた………。警備員やスタッフは、ゾンビは次々に倒していたが、地下からどんどんやって来るので、キリが無かった。
「どけ!!!」
そんな中を、スーツ男は無理やり通っていった。護衛の兵士は、行く手を阻むゾンビを的確に倒していった。スーツ男たちは、尾張たちや石井たちには見向きもしなかったが、尾張たちはそうではなく、スーツ男たちに銃撃をくわえた。どうやら、スーツ男を殺すつもりのようだ。しかし、その銃弾は、間にいたゾンビにしか当たらなかった……。だが、スーツ男を怖がらせる効果はあったようで、
「あいつらをなんとかしろ!!!」
彼にそう叫ばせ、護衛の兵士たちの反撃の銃撃をくわえられた。
「ぐっ!!!」
その際の銃弾は、とっさに伏せた尾張の真後ろにいた藤林に命中してしまった……。彼は出血し始めた横腹を押さえながら、うつ伏せに倒れた。
「大丈夫か!?」
そばにいた石井たちが藤林を介抱するが、彼は大丈夫そうではなかった……。スーツ男たちは研究所から出ていってしまい、尾張は舌打ちしていた……。
「そいつはもうダメだ。早く研究所から出るぞ」
自分たちに襲いかかってくるゾンビをターゲットに移した尾張が言う。彼の周りにいる3人の男女もゾンビを倒していた。
 ロビーにいた警備員やスタッフは、既にほとんどがゾンビとなっていた……。そのため、ロビーの出入口から外に出るのはもう無理そうだ。研究所の外にあるヘリパッドからは、ヘリが上昇していく音が聞こえてきている……。
「地下から外に出よう」
尾張はそう言うと、ロビーのエレベーターを目指して進み始めた。3人の男女も彼についていく。
「おい!!! 早くついてこい!!!」
尾張が、2匹のスタッフのゾンビを倒した後で叫んだ。
「そんなことできるわけないだろ!!!」
石井は叫び返すと、腹から血を流している藤林を背負った。
「ぐは!!!」
そのとき、襲いかかってきたゾンビが藤林の血まみれの横腹に噛みついた……。ゾンビがそのまま喰いちぎると、臓物が外へひきずり出された……。臓物を噛みついたままのゾンビは、そこで尾張に撃たれて倒れた。
「…………」
ショック死らしく、藤林は死んだ……。しかし、それを信じたくないのか、石井は藤林を背負ったまま、エレベーターへ進んでいった。藤林の腹からは、噛まれた臓物が垂れ下がっている……。
「ワン!!! ワン!!!」
女の子に抱えられていた子犬はそう叫ぶと、女の子から抜け出て、襲いかかってくるゾンビ3匹に、精一杯ほえ始めた。
「パパ!!! ママ!!! たかし!!!」
その3匹のゾンビは、女の子の家族だった……。女の子は変わり果てた家族に飛びつこうとしたが、宮武と高倉がすぐに女の子を押し止めた……。
 ゾンビ3匹は、ほえる子犬に向かっていく。しかし、子犬はその場でほえ続ける。そして、
「キャイーーーン」
子犬は、その3匹の家族のゾンビに喰われ始めた……。まるでフライドチキンのように喰われている子犬は、すぐにその姿が無くなった……。動物愛護団体が発狂しそうなワンシーンであった……。
「いやーーー!!!」
子犬の飼い主である女の子がヒステリックに泣き叫ぶ……。宮武と高倉は、そんな彼女を抱き抱えて、エレベーターに向かった。

作品名:ちぎれた世界にて 作家名:やまさん