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ちぎれた世界にて

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 すると、機械の突起と突起の間で電流が流れ始め、それを見上げていた哀れな旅行者たちは、何も知らずに小さく歓声をあげていた……。

   バチバチバチバチバチバチ!!!

 それからすぐに、激しい電流が機械から発せられ、下にいた旅行者たちに襲いかかった……。
「ウワァァァァァ!!!」
「キャーーー!!!」
旅行者たちは悲鳴をあげてしびれていた……。そして、旅行者たちの身体を流れた電流は、床の魔法円へと流れ始めた……。
 魔法円が光り輝き始めた途端、旅行者たちは、力尽きた様子で床に倒れこんだ……。彼らは、生贄として生涯を終えたのだった……。
「頼むぞ!」
博士が、哀れな旅行者たちの死など気にしていない様子で言った……。博士のその平然とした様子に、スーツ男と栗林はひいていた……。

   バチバチーーーン!!!

 その音がした途端、機械と魔法円の間に、電流で囲まれた円形の横穴が現れた……。突然出現したその穴に、博士までもが唖然としていた。だが、博士はすぐに我に返ると、
「穴だ!!! 異次元への穴が開いたのだ!!!」
そう叫んだ……。
「成功したのか」
「あの穴の向こうが異次元なのか……」
スーツ男と栗林は、信じられないという口調で呟いていた。

 あの謎の機械は、こちらの世界と異次元との穴を作る機械だったのだ……。

「さあ来い!!! 救世主よ!!!」
どうやら、博士たちは、異次元から救世主を呼ぶつもりらしかった……。穴の向こうで何かが蠢いているのが見える……。今にもこちらの世界へと入ってくる……。

   パッ!

 なんとそのとき、停電が起きてしまった……。あの機械の電源はバッテリーなので大丈夫だが、照明が全て消えてしまった……。どうやら、落雷による停電らしい……。
「クソ!!! この大事なときに!!!」
穴自体は見えるが、こちらの世界へと入ってくる「救世主」の姿が見えなかったので、博士は怒った。
「予備の自家発電装置がすぐに作動します!!!」
栗林はそう言って、怒っている博士をなだめている。
 「救世主」の足音は複数で、博士は早く照明がついてほしいと思った。どんな「救世主」たちなのかを知るのを待ちきれないようだ。
「ギャーーー!!!」
「離れろ!!!」
そう思っていたとき、大部屋のあちこちで悲鳴や怒声があがった……。
「な…なんだ!」
栗林が拳銃を抜くと、
「やめろ!!! 大事な機械に当たったらどうする!!!」
博士が叫んだ……。

作品名:ちぎれた世界にて 作家名:やまさん