夢の続き
「さあ、地球の一郎、出掛けるぞ」
「えっ、どこへ?」
高見沢は目をこすりながら慌てて訊いた。
「決まってんじゃん、今からおまえのいつか見た夢を叶えてやるよ。だから俺の後を付いて来い。さっ早くしろよ」
男は有無を言わせず、急かせてくる。しかし、よくよく考えてみれば、これは千載一遇のチャンス。高見沢は覚悟を決めた。
「ヨッシャー、連れてってくれ、一郎Cさん」
高見沢はすぐに着替えをし、一郎Cさんの後をトコトコと付いて行くと、神社の裏にある雑木林へと誘導された。そしてその茂み中に、ゴロンと転がっていたのだ。長さ一〇メートルほどの時空トンネルなるものが。
高見沢は腰を屈(かが)め、一郎Cさんの後を追って潜り込んだ。するとどうだろうか、星々が煌めく空間を、ペガサスに跨(また)がり悠々と飛翔して行く夢心地な事態に。そして時間は三〇分程度のことだった、天馬から降り、トンネルから抜け出した。一郎Cさんの弁によると、ここがC星とのこと。しかし、そこはやっぱり神社の雑木林の中で、地球とまったく変わらない。特に驚くことはなく、Cさんの後をさらに尾(び)すると、洋風の赤いトンガリ帽子の館(やかた)へと案内された。
「さっ、俺の家だよ、遠慮なく入ってくれ」
一郎Cさんが招き入れてくれた。すると玄関にいたのだ、高見沢一郎の妻が。
「おい、夏子、ここで何してんだよ」
高見沢は問い詰めるような言葉を女性に発してしまった。だが、女性はほほほと上品に笑っているだけだった。