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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第四話

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この年の9月に大変なことが起った。
永禄三年の桶狭間合戦から11年が過ぎた元亀二年(1571年)信長は明智光秀を総大将にして比叡山を攻めた。
かねてより僧侶達の酒池肉林と兵力に嫌気が差していたことで有無を言わせずに匿っている女子供まで全て焼き討ちにして葬れと言う命令を出していた。

キリスト教への信望があった信長には仏の加護や天罰などは意に介さなかった。むしろ邪魔に思えるほど平生より無視する行動が多かった。
光秀は若い頃より信心深く仏の加護と慈悲を確信していたから信長の命令は心痛める仕打ちとなっていた。
この戦いでも自分の隊だけには逃げる女子供は殺すなと命令していた。
兵力差は歴然としていてまもなく比叡山の主だたる建物には火の手が上がり焼けつくした。
逃げなかった僧侶達は焼け死に、逃げた僧侶達は切り殺された。配下の住人達は比叡山の火の手を見て涙ながらに拝んで天罰を恐れていた。

平和な村兼山城下にもその悲報は届けられた。