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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第四話

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藤次郎とまどかは釜が休みの日に娘を連れて木曽川に散歩に出かけた。
子供の名前は藤次郎の藤を一字とって藤子と名づけられた。
初めて見る木曽川の流れは雄大で雪解け水を大量に下流へと流していた。

「藤次郎さん、来てよかった。藤子が歩けるようになったらまた来ましょうね。見せてあげたいから」

「ああ、そうしよう。この流れはどこへ続いているのだろう、知っているのかまどかは?」

「はい」 伊勢湾にと言おうとしたが・・・辞めた。

「海か?」

「ええ、熱田のもう少し西の海です」

「そうか、尾張の国を流れているのか」

「河口の近くには揖斐川、長良川と言う他に大きな川が流れていて木曽三川(きそさんせん)と呼んでいます」

「よく知っているな。まどかは物知りだから聞くけど、この川の向こうはどこの国になるんだ?」

「今の呼び方は解りませんが、岐阜だと思います」

「岐阜か・・・織田家の居城があるところだな」

「そうですか・・・詳しくは知りません」

「なあ、まどか・・・俺は幸せだ。藤子が生まれて、こんなのんびりとした戦いの無い場所でお前と暮らせるんだからな。織田家への恨みは変わらないけど、お前と藤子とこれから出来る子供達と穏やかに暮らせたらそれが一番だってこの頃思うよ」

「藤次郎さん・・・ありがとう。まどかはとっても不安だったけどあなたの優しさと強さに包まれて今はとっても幸せです。焼き物の勉強をして色付けが出来るようになれたら、いつかあなたと2人の茶碗や花瓶を作りたいわ」

「いいなあ、俺も土堀を卒業したら自分で粘土をこねて焼き物を作りたいよ。今は修行中だけどきっと立派なものを作って見せるからな」

「はい、楽しみにしています」

まどかは本当にそう思っていた。しかし時代の流れと言うのか偶然の出会いがまどかと藤次郎の運命を揺さぶってゆく。