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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第四話

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美濃焼きは信長の支援もあってこの頃から盛んに郷土品として全国に売られるようになってきた。
釜はどこも忙しく人出が足らなかった。10ほどあるそれぞれの釜では工夫を凝らして独自の焼き物を競って焼いていた。
藤次郎が世話になった釜は美濃焼きでは一番大きなところで商い人も頻繁に立ち寄る有名どころであった。

赤子を連れてまどかは見知らぬ土地に引越しをしてきた。山に囲まれた土地には焼き物以外にこれといった産業はなく狭い田畑を助け合って耕しながら、中には焼き物の交易で得た利益を潤沢に蓄えている豪商も居た。

村から一刻(二時間ほど)近く歩くと大きな川が流れていた。木曽川である。信州から太平洋に注いでいるこの地方最大の川で、美濃と尾張をまたいでいた。
藤次郎とまどかは兼山城(かねやまじょう)の配下の村に住んでいた。窯業の主流であった土岐市とは少し離れた現在の可児市にあたる場所だ。
城主は森可成(もりよしなり)と言って、織田信長が美濃を治めた永禄8年(1565年)に家臣の森に与えた城であった。

藤次郎たちが越してくる前年に近江宇佐山城の戦いで可成が戦死して、あたらしく次男の長可(ながよし)が後をついで城主になっていた。
長可の弟に成利と言う美貌の若者が居る。後に信長に仕えた森蘭丸だ。