ハリーの憂鬱
僕にとって、この言葉は決定的だった。
一緒に頑張る・・・最大限の努力をしてくれると思った。
もちろん、何が起きるか判らない。
しかし、ハプニングやアクシデントが起きても、柳瀬ファミリーならハリーの為に、立ち向かってくれそうな気がした。
一日だけでも、一緒に頑張れば、絆ができる。
二日頑張れば、その絆は二倍の太さになっていく。
だが、それは、一緒に・・・という気持ちがあってこそ、築き上げられる信頼関係だ。
僕は、柳瀬ファミリーを見送った後、ハリーと少しだけ遊んだ。
その後、僕は仕事に追われた。
時計に目をやると、いつも間にか、午後七時を回っていた。
篠栗まで、高速を使えば三十もかからないだろう。
僕は仕事を切り上げると、出かける準備をした。
リードを持って外に出ると、ハリーがシッポを振って待っていた。
リードを首輪に繋ぎ、軽いおサンポに出た。
昼の散歩が最後と思っていただけに、拍子抜けの感も否めないが、少しだけ幸せな気分になった。
本来なら、ハリーにリードは不要なのだが、ここは街の中。そういう訳にもいかない。
サンポから戻ると、携帯が鳴った。