ハリーの憂鬱
今日は金曜日。
日曜日まで、あと二日しかない。
リードを新しいものと交換しよう。
お見合いが上手くいけば、首輪は、飼い主が、好みの物を買い与えるに違いない。
ハーネスは、今、着けている物で充分だろう。
僕は、仕事の途中で、ホームセンターに向かった。
明日は、ハリーを風呂に入れる。
暴れようが、洗って小奇麗にする。
第一印象は、もの凄く大事だ。
ちゃんと挨拶・・・いや、大人しくシッポを振ってくれるだろうか・・・無理だ。
せめて・・・吠えたり、キバを剥いたりしないように、神様の助けを乞いたい気持ちだった。
期待と不安。そして、一抹の淋しさが入り混じり、僕はナーバスになってしまった。
ようやく見つかった里親候補。いったいどんな家族だろう。全員が犬好きだろうか?
僕は、一度は里親の元に引き取られながら、手に負えないからと、たった一日で戻されたハイジの事を考えてしまった。
手に負えないと言えば、ハリーの方が百倍も凄まじいだろう。
破壊力もハイジとは雲泥の差だ。
それでも、腰を据えてハリーと向き合ってくれるだろうか。それを考えると頭を抱えてしまう。
当のハリーは、そんな事が起きているなど知る由もなく、春のうららかな風を感じているのだろう、工具箱の上で、ご満悦状態だった。