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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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ハリーの憂鬱

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洗面台の上にあった物が、全て、床に散乱している。
ダブルハングのドアは半分まで押し上げられ、網戸が突き破られていた。
昨夜、換気の為に少しだけ開けておいたのだが、僕が両手で上げないと開かない程の重い窓。
ハリーは、それを鼻先で押し上げて、出て行ったようだ。
強靭な首の筋肉。
恐るべし、ハリー。
笑うしかないだろう。

僕は、片付けは後回しにして、デッキに出てみた。
工具箱は昨夜の風雨で濡れている。主の姿はない。
その先、玄関ドアの前に目線を動かす。ハリーはマットの上で済まして座っていた。
僕に気づいてシッポを振った。

外犬には外犬の暮らしぶりというのがあるのかも知れない。
最初から、そこにクッションと毛布を置けば良かったのだと、僕は自分のさじ加減を反省した。


年も暮れ、街はクリスマス商戦で賑わいを見せている。
五匹+ハリーの世話にも慣れてきた。何より、チビ達が、ハリーの存在を当たり前のように感じてきた事が、気持ちにゆとりを持たせたのかもしれない。

里親募集を続けたが、一向に声が掛からなかったし、知人の伝を頼ってみたが、その傍若無人ぶりと、極度な人見知りのハリーを飼いたいという奇特な人物は、現れそうも無かった。

クリスマスも正月も、我が家には関係なく過ぎていった。
作品名:ハリーの憂鬱 作家名:つゆかわはじめ