ハリーの憂鬱
バスルームの窓に、折れて飛んできた小枝が当たり、パチンッと音を立てて落ちていく。
僕は、床に座り込み、ハリーを触りながらゆっくりとグラスを傾けた。
少しずつ、アルコールが体に染みこんでいき、緩慢な動きになっていくのがわかる。
「ハリー・・・幸せにしてやるからな・・・信じるか?・・・僕を信じるか?・・・それとも、今のままが良いのか?・・・どうなんだ?ハリー・・・何とか言えよ」
ハリーは、シッポで床をタンタンと叩きながら、その鋭い目で、じっと僕を見つめていた。
僕は、一晩中、リビングとバスルームを行ったり来たり・・・片手には、ラム酒のロック。何杯つくったのか覚えていない。
何時しか、ソファの上で、チビ達を抱くようにして眠ってしまった。
目が醒めると嵐は去っていた。
鉛色の雲が垂れ、白いものがチラついていた。
僕は、バスルームのドアを開けた。
ドアを開けて、未だ覚醒していない頭を抱えた。