ハリーの憂鬱
「カプッ!」
放物線を描いて投げられたササミジャーキーは、空中でハリーにキャッチされた。
「カリカリ・・・・カリ・・・」
再び、ハリーが足踏みをした。今度は離れた所から投げてみた。
「カプッ!」
大きな放物線の頂点で、ハリーがキャッチした。
僕は、急いで家の中に戻ると、食パンを一枚持って出た。
ハリーをリードから外して庭に出る。
ハリーはおサンポと勘違いし、跳ねるように着いてきた。
「ハリー・・・マテ・・・ココでマテ」
ハリーはオスワリをして待った。
ハリーとの距離を開ける。距離5メートル。僕は食パンをフリスビーに見立て、ハリーに向かって投げた。
薄明かりの中、白い食パンが回転しながら弧を描く。
ハリーはその軌跡を追うと、前足を上げて、立ち上がった。
「パクッ!」
見事に・・・キャッチした。
フリスビー犬の出来上がりだ。