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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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ハリーの憂鬱

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電話が切れた。
印象は良かった。言葉の端々に優しさが聞き取れた。
僕は事務所の天井を眺めながら思案した。
ハイジは媚売りの天才だ。どんな人にもシッポを振って寄っていく。気に入られる事は間違いないだろう。
問題は飼い主の覚悟・・・ハイジの為に、そこを見届けてやるべきだろう。

実は、ハイジは「出戻り娘」という、悔しい経験があった。
一週間ほど前になる。会社に電話があった。
ハイジを貰いたいと言う。環境を聞けば団地住まい。僕は、団地はペットの飼育は禁止だろうと聴くと、その辺は極めて緩い団地で、お隣も犬を飼っているから大丈夫だ、という事だった。
一抹の不安は拭い去れないが、会って見る事にした。

翌日の夕刻。僕はハイジを連れて出向いた。会社から然程遠くない団地。公園も多く、確かに、散歩の帰りだろうか、犬を連れた男性が団地の中に入っていくのが見えた。
携帯電話で連絡を取り合いながら団地の前で落ち合った。
40代前半のお母さんとその娘。十歳。そしてお婆ちゃん。三人家族だと言う事だった。
既に受け入れ態勢は万全で、オシッコシート、おサンポグッズ。全て揃えてあるという。何より、女の子が大喜びでハイジを撫で回している。
一見、問題なさそうにも思えた。
作品名:ハリーの憂鬱 作家名:つゆかわはじめ