ハリーの憂鬱
「はい。うちは何時でも・・・自営ですから」
「では、住所を・・・・・・」
僕は住所を控えると、何度もお礼を述べて電話を切った。
幸先がいい。この調子なら意外と早く見つかるかもしれない。
その夜は、お祝いをした。と、言っても八匹もいる。少しばかりの肉をご飯に混ぜただけだが、家犬、外犬。みんなバクバク食べていた。
全員の食事が終わると、ラブを抱っこして風呂場に連れて行く。家犬五匹が興奮したが、自慢の長い足で牽制した。
ラブは以外にも大人しくしていた。保護してから直ぐに処置した薬の効果もあり、ダニは一匹も見当たらない。
バスタオルで拭き上げたら、可愛いラブが出来上がった。
翌日、ラブを助手席に乗せて会社に向かった。そして、その足で白鳥家に向かう。ラブは車に慣れていない。会社で中継したのはその為である。だが、もう少しというところで、吐いてしまった。
仕方がない。掃除をすれば済む事だ。
約束の場所に着いた。工場のようだった。若い女性が笑顔でやって来た。
「こんにちは!」
「こんにちは、梅雨川です」
「白鳥です。わざわざ連れて来て頂いて、ありがとうございました」
「いえいえ・・・でも、沢山いますね・・・ワンちゃん」
「クスッ・・・梅雨川さんの所には負けますよ〜」
「ハハ・・・おいで・・・ラブ。仲間がいるぞ」
僕がラブを車から降ろすと、先住犬達がわっと走り寄ってきた。
ラブはその歓迎にシッポが下がり気味だが、大丈夫そうだ。