ハリーの憂鬱
「はい・・・」
「ああ〜〜〜ワンちゃんですね・・・梅雨川と代わります・・・はじめさん・・・電話です。白鳥さんって言う女性の方・・・里親の件だそうです」
「来たか!」
「みたいですよ」
「うんうん・・・代わろう・・・もしもし・・・梅雨川ですが」
電話の向こうで優しい声がした。
「あの・・・会社のブログを偶然見まして・・・」
「ありがとうございます」
「・・・ラブちゃんの里親になりたいのですが、まだ大丈夫でしょうか?」
「はい、まだ三匹ともいますよ・・・一度、会ってみますか?」
「あ、良いです。里親にならせてください」
普通、対面の上で決めるものだ。
僕はその辺が気になって問いただしてみた。その後に続いた言葉を今でも覚えている。
「うちには既に三匹いるんです。梅雨川さんのブログを読んで、私も力になりたいなって・・・命が救えるなら力になりたいなって・・・家族と相談して決めたんです。だから、ラブちゃんを引き取ります」
「そうですか・・・ありがとうございます!」
「でも・・・凄いですね?」
「何が・・・ですか?」
「普通、出来ないですよ・・・梅雨川さんみたいには・・・」
「白鳥さんも同じでしょう?ハハハ」
「クスッ・・・で、どうしたら良いですか?」
「連れて行きますよ。今夜、風呂に入れて・・・明日でも大丈夫ですか?」