ハリーの憂鬱
緊張が緩んだ。
ハリーは腰を落とすと、僕の顔に鼻を近づけて嗅ぎだした。
咬まれても良いと思いながらハリーに身を委ねた。
ハリーの舌が僕の鼻先を掠めた。愛おしさが湧きあがる。そんな気持ちを抑え、ただ、ハリーを抱きしめた。
僕は心で、ハリーに語りかけた。
「おいで・・・ハリー・・・ドアを開くんだ。ハリー・・・もう、大丈夫だよ。僕のところへおいで・・・ハリー、僕が守ってやる・・・おいで」
ハリーが僕の顔を舐め出した。
シッポがデッキの床を左右に掃いた。
その後ろでは、ハイジとラブが同じようにシッポを左右に振っていた。
保護・・・できた。
この後、僕は三匹の里親探しで奔走する事になる。