ドッグダム(DOGDOM)
第九章 奪回
ドッグダム城の防備体制は万全だった。猫の子一匹入る隙間もないほど、ハイナで埋め尽くされている。攻撃力に長けていないハイナは数で勝負してきた。
ドッグダム城は周囲を濠で囲まれ、南北の跳ね橋(ウィング)で繋がっている。ウィングが上がっている今、城内に入るには濠を泳いで渡り、城壁を登るしか手立てはない。しかし、頻繁に行われているパトロールに発見されるのは必至だ。
マスター・サンとアラン王子は城壁の影から様子を伺っていた。城の最上部にリンガートップが見える。窓から薄っすらと灯りが漏れていた。パン屋の言う事が正しければ、王妃レナがそこに居るはずだ。
リンガートップへの外からの進入は不可能だ。城の中に入るしかない。
通路は二つ。螺旋階段を一気に上るか、一旦王室に入り、そこから入るかだが・・・巨獣ティガ・・・城を支配しているからには王室にいる可能性が高い。不可能かと思えた。
「アラン王子・・・方法は一つしかないようだ」
「うむ・・・正面から暴れるか・・・」
「よし・・・では、いざ!」
「まてっ!・・・マスター・サン・・・・あれを見ろ」
マスター・サンは、アラン王子が指し示す先を追った。目を凝らさないと見えない程だが、小さな球がゆっくりと、東から浮遊して来る。
「おおっ!・・・あれは!」
「気球だ・・・あんな物を操るのはビーグル族しかいない」
「と言う事は・・・味方についてくれたのか!」
作品名:ドッグダム(DOGDOM) 作家名:つゆかわはじめ



