ドッグダム(DOGDOM)
砦の門を潜ると街の犬達が一斉に集まってきて様子を伺っている。
皆、同じ顔。いや、微妙に違うのだが・・・同じ種族だから仕方が無いと言えばそうだ。
一行は広い講堂のような部屋に連れて行かれた。
「此処が貴方達の仮住まいだ。必要なものは用意させるから、申し出るがいい。怪我をしている犬が多いようだ、医者を手配しよう。それから、このホールからは自由に出て良い。但し、砦からは出るな。」
「承知しました・・・ありがとうございます」
「それから、食事の準備を・・・べっちゃん、頼まれてくれるか?」
「分かったっちゃ。直ぐに用意するっちゃよ」
ビーグル族は全員、引き払った。
「何だか・・・捕虜とかじゃないようね」
「・・・鍵もかけずに・・・蘭丸殿、見張りすらいませんよ」
「トラジー。鍵など要らんのだよ。変な行動を取れば直ぐに射抜かれるぞ」
間も無くして、食事が用意された。一行に少しだけ笑顔が戻った。食事の後、ソルジャーが二匹来て、蘭丸とトラジーを連れて行った。
「べっちゃん!」
「お前は・・・」
「モモコよ・・・さっき、弓を引かれそうになったわ」
「あれは、職務っちゃ。打つ気など無かったっちゃよ」
「ねぇ・・・私たちどうなるの?」
「どうって?」
「賢王様が亡くなられて、・・・ドッグダムは占拠されちゃったし、それに王妃レナ様まで・・・もう最悪」
「皆で取り返せばいいっちゃ」
作品名:ドッグダム(DOGDOM) 作家名:つゆかわはじめ



