ドッグダム(DOGDOM)
ハナビ神父の饒舌な送りの言葉が、凄まじい破壊音で途切れた。
「ガッ、ガッシャ〜〜ン!グァラン、ガラガラ・・・」
教会の神聖なステンドガラスの窓が割れ、鮮やかな色の破片が床に落ちてきた。落ちてきた破片は更に細かく砕けて辺りに飛び散った。教会は騒然となった。
「何だ!・・何者だ!」
割れた窓からは空が見える。そこから恐ろしい巨獣が身を乗り出した。
身長は五メートルを超えるだろう。巨木のような腕に、巨岩のような太もも。手にも足にも黒光りする、鋭い鉤状の爪がある。巨大な頭と強靭そうな顎。黄色く輝く大きな眼と、引き攣った猫のような表情。何よりも、オレンジに黒と白が入り混じった縞模様が異様だった。
太くて長いシッポが背後でのた打ち回っている。直撃を受けたら一たまりも無いだろう。見るからに恐ろしい巨獣。背中の毛が総毛立つようだ。
「ウグゥアァ〜〜〜ッ!」
巨獣の第一声が教会の空気を劈(つんざ)く。
「ウギャアァ〜〜〜グァ〜ッ!」
巨獣の第二声で、教会内部はパニックになった。我先に開かれたドアへ向かった。マスター・サンは、王妃レナの前へ出た。
「お前は・・・ティガだなっ!」
作品名:ドッグダム(DOGDOM) 作家名:つゆかわはじめ