ドッグダム(DOGDOM)
「賢王さまの・・・意地悪」
「こっちへ来い、レナ・・・・寝室に行こう」
「・・・・・はい」
二匹は寄り添うようにバルコニーから寝室に入った。
国を掌る王には似つかわしくない程、質素な愛の巣だ。レナは悩ましくベッドに横たわると賢王の寵愛を待った。
賢王は緩やかな動きで水差しからグラスに水を注いだ。
レナはその緩慢さが時々じれったく感じる。水など後にして早く抱いて欲しかった。
「賢王様・・・・早く・・・」
賢王は水をゆっくり味わいながら、その垂れた優しい目で、この世で最も美しい最愛の妻を愛でる。
気力が充実してきた。大きな尻尾がフサフサと揺れた。
「レナ!」
「あなた!」
二匹が発した言葉はそれだけ・・・愛の遠吠えが王国に木霊した。
作品名:ドッグダム(DOGDOM) 作家名:つゆかわはじめ