ドッグダム(DOGDOM)
ワイエス・フラワーリング・ジェイピー・アイリスのドレスの肩紐がずれると、それだけでオス犬達は盛り上がる。
ア・ペコ・オブ・ジェイピーがクルリと回転したときドレスが翻る。オス犬達は羞恥心など忘れ、食い入るように身を乗り出した。
ワイエス・フラワーリング・ジェイピー・アイリスのシッポが、トイプードルの鼻を掠めた。その夢見心地の感触と、放たれるフェロモンでトイプードルの腰が砕けた。
ア・ペコ・オブ・ジェイピーが、身を乗り出して見ているシェパードに頬を寄せて耳の飾り気で鼻先を擽ると、シェパードの腰も砕けた。
ワイエス・フラワーリング・ジェイピー・アイリスとア・ペコ・オブ・ジェイピーはモンローウォークで立ち位置を交互に代わりながら、オス犬達を次から次に悩殺して回った。フェロモンの大サービスだった。
ステージに咲く妖艶な花二輪。
ワイエス・フラワーリング・ジェイピー・アイリスとア・ペコ・オブ・ジェイピーは、月夜にばら撒いた燐粉のように妖しく輝いていた。
「すご〜い・・・どうしたら、あんなにセクシーに踊れるのかしら」
そう言ったのは、落ち着きを取り戻したモモコだ。占い師チャコとソラのいたテーブル席にココ共々座っていた。
「男は可愛いね〜〜。あんなので幸せを感じているんだから。まぁ、見方によっちゃ、悲しいけど・・・」
「そよね。自分の彼氏があそこに居たらガッカリだわ」
「そうそう・・・絶対、嫌よね」
「ふむ・・・まだまだじゃなぁ〜」
「占い師チャ子様・・・私達はまだまだ子供ですか?」
「そうだね〜〜そうかもね〜〜・・・あら、終わったよ。いよいよ、ダンスコンテストよ。あなた達、出ないの?」
作品名:ドッグダム(DOGDOM) 作家名:つゆかわはじめ