ドッグダム(DOGDOM)
一方、王室では典医のロクが、ハチベェが運んだ薬草を擂り潰し、調合していた。
「うむむ・・・これで解毒が出来れば良いのじゃが・・・」
「何を、そんなに頼りのない事をおっしゃる・・・ロク殿、賢王ミウ様を救えるのは貴方しかいないのです」
「はい。マスター・サン様・・・手は尽くしております。しかし、この水差しに入れられた毒は何とも・・・唯の毒ではないようで・・・」
「・・・と、申されますと?」
「はい・・・何やら呪いがかけられているのでは・・・と」
「そ、そんな事が出来るのか?・・・仮に出来たとして、誰だ・・・誰がそのような呪いを」
賢王ミウが微かな声を上げた。
「ティガ・・・ティガの仕業かも知れぬ・・・」
「賢王ミウ様!」
マスター・サンは起き上がろうとする賢王ミウを、抱きかかえるように支えた。
「あ、あなた・・・大丈夫ですか?」
「うむ・・・ティガの呪いで調合された毒ならば・・・私の命は既に風前の灯・・・」
「何をおっしゃいます!・・・」
「まあ、聞け・・・マスター・サン。それに、愛するレナ・・・皆も良く聞きなさい。この国が出来る以前の話だ・・・私も覇王ゴンから聞いた話だ・・・ティガという、我々の数倍もある猛獣がこの地を支配していた・・・・・・賢王ミウはゆっくりと話し出した。
作品名:ドッグダム(DOGDOM) 作家名:つゆかわはじめ