ドッグダム(DOGDOM)
口は開き、舌が風圧で靡いている。涙が滲んで後ろに飛んでいった。
ドッグダム城が近づいてきた。もう少しだ。爪が擦り切れて血が滲んでいる。
ハチベェは心臓が破れんばかりに最後の力を振り絞る。南ウィングが下がりきっていない。口を尖らして甲高い声で吼え、衛兵に早くウィングを下ろすよう催促した。
「ハチベェ様だ!急げ!急いでウィングを下ろさんかぁ!」
「ウオォ〜〜〜ン」
「急げ!・・・急ぐんだ!」
「ウオオ〜〜〜〜〜ン!」
「クソッ・・・・・・・・急げ!急いでウィングを下ろせ〜〜!」
「ウウオオオォ〜〜〜〜〜〜ン!」
南ウィングは未だ半分の所までしか下りていない。このままでは、ハチベェは濠に落ちるか、分厚いウィングに激突してしまう。衛兵達は焦った。
「急げ!ハチベェ様が目の前だぞ!・・・駄目だ!間に合わんっ!」
「ウウウオオオオオオオォ〜〜〜〜〜〜〜〜ン!」
飛んだ・・・・。
「おおおっ・・・ハチベェ様・・・お願いです・・・・超えて下さい・・・」
南ウィングの先端にハチベェが激突する!・・・・誰もがそう思った。ハチベェは空中で弧を描いた。
「おおおっ!・・・こ、超えたっ!・・・ハチベェ様が南ウィングを超えたぞ!」
作品名:ドッグダム(DOGDOM) 作家名:つゆかわはじめ