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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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メディカル・ヒストリー・ツアー

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 そして今日もMHTレストランから豪華な食事を済ませた家族が、満足そうに会話しながらマシンから出てきたのであった。
 マシンは幾つかの乗り物を模した小部屋で、そこから様々な世界に旅立って行くのである。
 昔の遊園地に有った初歩的なバーチャル体験アトラクションの様なものと思えば良いだろう。

「やあ、支配人、さすがに素晴らしい食事だったよ。あれなら昨今の大繁盛振りも納得がいったというものだね。あっはっは」
 一家の家長と思しき中年太りの男が豪傑笑いを炸裂させた。
 おそらく、オプションツアーのダイノソーハンティングでたくさんの獲物を仕留めたのだろう。

「ありがとうございます。そう仰って戴きますと、手前供のシェフもますます張り切ることでございましょう」
 支配人と呼ばれた男が恭しく頭を下げた。
**********************
「でも本当は恐竜の肉とか言っても鶏か何かの肉なんだろう?本物なんて有るわけないしな?ま、それだって貴重品だけどね」
 中年男がニヤニヤしながら問い掛けた。

「イエ、とんでもございません。当社のバイオテクノロジーが恐竜を現代に蘇えらせ、特別に草食に改良したモノを、一流のシェフが究極の技で調理したモノでございます。そのために、わざわざ嘴の無い頭部とシッポを付けたままお出ししている訳です。お客様もお食事の時はヘッドギアを外してご確認戴いたはずでございますよ」