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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第三話

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鳴海次郎佐は桶狭間への帰り道に藤次郎にこれからのことをどうするのか聞いた。

「なあ、藤次郎。嫁を貰ってこれからすぐに子供が出来たら暮らしをどうするつもりじゃ?あんな場所では子供は育てられないぞ。違うか?」

「庄屋どの、そのことですが住むところは考えなくてはいけないと思っておりました。どこかいい場所はありませんか?」

「そうじゃなあ・・・家を借りると言っても空き家になっているところはおろか、離れすら空きになっている家などないからな。
住み込みでお前とまどかさんが働いてもいいというなら、考えるところはあるがな。それはどうじゃ?」

「住み込みでございますか?何をしろと言われるのでしょうか」

「焼き物じゃ」

「焼き物?茶碗とか作るのですか?」

「まあ、そういうことじゃ」

「では・・・この辺りではございませんね」

「美濃じゃ」

「美濃?そこは・・・信長の居城があるところじゃないですか!」

「信長に仕えるわけじゃないぞ。勘違いをするな」

「織田信長、わが父と母そして藤三郎の仇・・・そのような場所で暮らす事など耐えられません」

「藤次郎・・・良いのじゃ。わしが悪かった。お前にとっては当たり前のことじゃたのに、気が回らんかった。許してくれ」

「庄屋どの。わがままをお許し下さい」

まどかは藤次郎にとって今も忘れられない心の傷となって残っていることを改めて知らされた。
日が暮れてやっとの思いで住み慣れた場所の近くまでたどり着いた。
痛い足を引きずりながらまどかは寄り添うように藤次郎と歩いていた。