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アグネシア戦記【一巻-三章】

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「しょーじき、あのアグネシアって国も胡散臭いのよ。国王はロリ趣味の変態だし…精々連れて行くとしても一人が限界」

フリルは全ての魔法使いとは言わなかった。

「フリルちゃんは、アグネシア所属なのでは?」

するとフリルは不機嫌を顔いっぱいに現した。

「はあ?あんなロリコンジジイに媚を売るなんてごめんよ」

フリルは余程アグネシア国王が嫌いなのか身震いして嫌がっていた。

「そういえば、ゲノム王国と言っていましたよね?わたしは滅んだと聞いていたましたが…」

マリアの問いかけに、フリルは首を横に振る。

「滅んでない…王子が生き残ってる、国の王子が残ってるんだから。国はまだ滅んではいないよ」

フリルは強く言い放つ。

「あの王子は、国民の目線で人が見れるの…あの人はこのアグネシア大陸を必ずいい方向へ連れていける…、あたしはその手伝いがしたいの」

フリルの決意は目に現れていた。そしてマリアの中にもフリルを信じて見たいと思った。

「ではフリルちゃん、その王子がもし間違えたらどうします?」

その問いにフリルは大きな瞳を瞬きさせる。

「そうね…記憶が無くなるまで殴るわ!」

腕を組んで自信満々に言った。

「ふふふ…」

マリアは肩を揺らして控えめに笑った。

「な!何がおかしいのよ!」

そんなマリアにフリルは慌てたような仕草をする。

「いえ…可愛いなって」

するとフリルはみるみるうちに頬が赤くなっていく。

「わ!わらうな〜!!」

馬鹿にされたと感じたのか、フリルは小さな身体をいっぱいに使い怒りを顕にした。

「つきましたよ」

マリアは即座に話題を変える。フリルは我に返り辺りを見回した。

「へ?どこ?…なんにもないよ?」

フリルの言ったように周りには道ひとつない、木々が生い茂り村など見当たらない、あるのは大きな木だけだった。するとマリアは、大きな木の前に行き、手を真っ直ぐに伸ばして前の木を手で触れた。

【ズル…ズル】

途端に木が輝き、マリアの身体が中へ吸い込まれていく。

「!!」

フリルは驚きで表情をかためていた。

「フリルちゃん聞こえますか?」

すると木の中からマリアの声が聞こえて来る。

「マリア!?ど…どこ?」
フリルは慌て辺りを見回した。

「これは地形を利用した幻魔法です、この木がウィプルへの扉となっていて見えなくなっているんですよ」

フリルは納得して頷く。

「これが…誰も知らなかった理由?」

「はい」

幻越しにマリアは断言した。

「さあ、思いきり木に飛び込んじゃって下さい」

マリアに言われ。フリルは助走をつけ、一気に飛び込んだ。

「わああああああっ!!!」

途端に平行感覚を失い、フリルは地面に転がった。

「い…たたた…」

うつ伏せに倒れたフリルは背中の大荷物を地面に投げ、ゆっくりと起き上がる。目の前にはマリアが立っていた。

「ようこそ、ウィプルへ」
マリアはフリルに道を譲るように身体を退かせば、フリルの目の前にウィプルの景色が広がる。

「……」

目の前には生活の為に使われる大きな噴水があり、噴水を囲うように民家が真っ直ぐに丘の方まで続いている。丘の上には一際大きな家が一つ立っていた。その姿をは村というよりは町であった。

「すげー…」

フリルは初めてみるウィプルの街並みに感激の声を洩らした。

「はい、自慢の故郷ですから」

隣でマリアは自慢気に言った。

「あ…」

すると隣でフリルが声を挙げる。

「どうかしましたか?」

マリアが聞き返すと、フリルは立ち上がり一言。

「二人は平気なのかしら…」

その頃、ラルフとグリフォード。

「た…たいちょ〜!!」

「く!!くそがっ…き…」

ラルフとグリフォードは地面を這いつくばり、フリルの歩いて行った後を追いかけていた、あまりの重さに立つこともままならない。

「ぜ…ぜってえ…なかす…」

ラルフはそこで力尽き、倒れた。

「たいちょ…は、こんな荷物を…一人で担いでいたのか?…」

グリフォードは我慢強く歯を食い縛り、ゆっくりと身体を起こした。

「ラルフ!…立て!…これは訓練…だ!!」

気合いで立ち上がるグリフォードは一歩一歩ふらつきながら歩きだす。

「ち…」

地面に倒れたラルフはそれを見てゆっくり立ち上がる。

「グリフォードに出来て!俺に出来ない訳がねえ!!」

彼もグリフォード以上に負けず嫌いであった、歩くペースは次第に早くなる。身体を押しつぶす程の重みを感じながらも歩みを止めず、グリフォードを追い抜いた。


「ラルフの癖に!…やるじゃ…ないですかっ!!」

グリフォードもペースを早め、いつしか二人は走りだしていた。次第にペースを上げ、草木をかき分けそして目の前に小さな女の子、フリルが突然現れた。

「わ!!わああ!!」

「「うああああ」」

フリルの反射神経を持ってしても、二人を避ける事は出来なかった。フリルに激突して倒れた。

「い…いた…」

すぐに意識を取り戻したグリフォードは両手で四つんばいになるように身体を起こして辺りを見回す。

「…ここは?」

グリフォードの周りには見慣れない景色が広がっており目の前にはマリアが立っており、左でラルフがのびていた。

「あれ?隊長は…」

隊長の姿がない、グリフォードは仕切りに辺りを見回すと、マリアが下を指差した。

「うう〜…」

するとグリフォードの下から小さな女の子のうめき声が聞こえてきた。思えば先程から両手にふにふにと柔らかい感触があった。グリフォードは恐る恐るしたを見た。

「お…重い…」

フリルが自分の下で潰されていた。そこで頭の中で情報が推理されていく、フリルと激突した拍子に倒れたフリルの上に倒れてしまったのだと。

「た!…隊長っ!?」

「まっ…たく、なんで走って…」

フリルは弱々しくそんな愚痴を言いながら言葉を止めた、そしてグリフォードの顔を真っ直ぐに見つめる。

「た…隊長?」

グリフォードに聞き返されると、フリルはみるみるうちに赤面していき。グリフォードは自分の手を確認する。グリフォードの手はフリルの平らな右乳房の上に置かれていたのだ。

「こ!…こ!…こ!!」

フリルは口をパクパクと動かしながら確り拳を握る。

「この!!変態がぁ!!」

【ズガァ!!】

音にすればそんな感じだろう音と共に、グリフォードの体は軽く空へと飛んでいった。

暫くして、ウィプルに到着した三人を迎えたのは誰もいなかった。

「おい、グリフォード?」

意識を取り戻したラルフは、隣で荷物を全部持たされたグリフォードに声をかけた。

「…」

グリフォードは、パンパンに膨らんだ顔のままむっつりと黙り込んでいる。

「なあ、グリフォード?どうしたんだよ~」

そんな二人の前をフリルとマリアが歩いている。フリルはまだ根に持っているようで体いっぱいに不機嫌を現していた。

「まったく…あたしの部隊から変態が出るなんて!」

「まあまあ、フリルちゃん」

それを聞いて隣のマリアは、背後を歩く散々ボコボコにされたグリフォードを気の毒そうに目を向けた。

「まあ、まずは荷物を酒屋を持っていきますか?」