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DESTINY BREAKER 一章 2

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「ほら、先月末あたりにテレビでも取り上げられた連続失踪事件。今月にはいって行方不明者が十一人だって。警察も事件についてまるで見当がついていないみたいだし、不思議なことに殺人として捜査されてるのに死体も見つかってないんだって。これは私の憶測なんだけど行方不明者の人たちは神隠しみたく忽然と消えちゃってるんだと思うんだ。うん、まさにみすて(・・・)り(・)ー(・)だよ。でもね、そんなことより事件が発生している場所がだんだんこの街に近づいてるみたいなの。桜花ちゃんも気をつけてね。桜花ちゃんに何かあったら、わたし―――。」
あまりに夏樹の表情が真剣だったため。
「心配しなくても、こんな強情で凶暴な女を襲う人はいないって。それよりナツこそ気を付けなよ。そんなにかわいいと狼さんに食べられちゃうぞ〜。」
とあまり気を揉ませないように少しからかうような口調で返答したが、
「そんなことないよ。それは桜花ちゃんがそう思っているだけで私なんてかわいくないよ。桜花ちゃんこそ本当は素直で優しい女の子だもん。誰よりも優しい子だもん。だってあの時だって・・・。」
と私の冗談を真剣に受け止め鼻先がくっつきそうなほどの距離に頭一つ分くらいある身長差を背伸びして夏樹が顔を近づける。表情は必死に何かを訴えようとして目が少し潤み始めている。桜花にとって、外見ではなく内面で他人を表現しようと奮闘する夏樹のような存在は好ましく、自分をこんなにも心配してくれる友人が傍にいてくれることが嬉しかった。仄かに胸が温かくなる感覚が使い捨てカイロと相乗しあい心地よさを感じる。
「お世辞言っても何も出てこないぞ。でもごめんね、からかうようなこと言って。心配してくれる気持ちは素直に受け取るよ。ありがとうねナツ。」
「えへへ、友人として当然の勤めだよ。」
エッヘンという風に夏樹は誇らしげに小さな胸を張って見せた。そんな微笑ましい親友の姿を見て、桜花は窓の外に目を向けた。
「・・・・・・あっ。」
そんな折、小さな白い粒が空の上から降り注ぎ始めた。
「桜花ちゃん!見て雪だよ、雪!今年の冬に入ってはじめての雪。」
夏樹が窓に張り付くような体勢でうれしそうに目を輝かせ、桜花は、その夏樹と雪の降る様子を交互に極めて静かに眺めていた。
「ねえ、桜花ちゃん。うれしくないの?」
「んっ。私そんな顔してた?」
作品名:DESTINY BREAKER 一章 2 作家名:翡翠翠