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つだみつぐ
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ひとつだけやりのこしたこと

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【かをりへのメール 2011年4月14日 0時59分】

>つださんに抱いてもらって開花した「おんな」に浮かれてるんだと思う

確かにその側面はあると思う。つまり、さとみは初めて愛のあるセックスを気持ちいいと知って(「こんなに気持ちいいことを知らないまま死ななくてよかったよ。」)、自分の性欲を口にできるようになって、一言で言えばセックスを肯定できるようになったのです。これはある意味、自分を肯定できることでもあると思います。とても魅力的な女性になった。まあ、わたしには、最初から魅力的でしたが。

でもね、本質的には「女性として」というより、「人間として」変わったのだと思う。信じられないぐらい明るくて前向きになって、人にやさしくなって、勤めている薬局でも患者さんととてもいい関係になっているようです。
さとみがある患者さんに話しかけて、ずっと患者さんの話に耳を傾けた時、その患者さんはその場で泣き出したそうです。さとみは、どうぞここで泣いて下さい、って、泣き終わるまでずっとそばにいた、って。

さとみはたぶん、自分で自分のしあわせを見つけたのだと思います。そのこと自体は、わたしはとてもうれしい。

でも、正直、わたしはさとみが欲しい、傷ついて戻ってきて欲しい、でも、それはわたしの勝手な自己中心的な願望です。

傷つかないで、はっと我に返って、あ、わたし、誰よりもつださんが好きだ、と気づいて戻ってくれるのが一番いいけれど。でも、同じだけ、あ、わたし、つださんそんなに好きじゃなかった、と気づく可能性だってあるし。



ねえ、知ってる、カウンセリングの中で、カウンセラーが異性だった場合、かなりのクライアントがカウンセラーに恋をするんだよ。
そして、この恋が終わるのがカウンセリングの完成なの。クライアントはもう、一人で歩ける。

カウンセラーがクライアントに恋をすることを逆転移、っていうんだけど、これは未熟なカウンセラーが陥りやすい典型的な失敗。



でもでもでもでもわたしはカウンセラーじゃなくて一人の男だし、あと、それに、わたしたちの恋は本物だったと、いまでもわたしは思いたいの。
こんなにひとを愛して、ひとを大事にしたことが人生で一度もなかったから。
そのときの胸の中のあたたかさはほかの何にも比べられなかったから。

そうだね、いま、泣いていても、それを知らずに死んでゆくひとよりはしあわせだね。