痛いよ
ねぇ、あなたでいっぱいになりたいんだよ。
指の先から溢れるほどに。
もっといっぱいになりたいんだよ。
だからもっと俺を傷つけて。お願いだよ。
その痛みがあなたへの愛だって思うんだよ。
俺の細胞の一つ一つがあなたの愛に溢れてるって思いたいんだよ。
お願いだよ。
いいことも嫌なことも全部教えて。俺を傷つけて。
耳の後ろに口付けると擽ったそうに首を竦める。
首筋を舌でなぞって、あごの下を軽く噛むとくぐもった声を上げる。
ねぇ、俺を見て？
キスが好きでしょう？何で笑うの？
誰に教えてもらったの？俺で何人目？
俺は何番目の恋人？
ねぇ、こっちを見て。俺を見て。
目を閉じないで、俺を見て。
俺を見てキスして。
潤んだ目を見せて。閉じないで。
ほら、ちゃんとキスして。
ホントに誰に教わったのさ。
体だって火照ってる。
俺はあなたを満足させられてるの？
声を出して。もっと。
そう、俺を欲しがって。もっとだよ。
この声を聞かせたのは俺で何人目？
泣かないで。
泣かせたいんじゃない。
喜ばせたいだけなのに。
理不尽？
じゃあ、あなたは?
あなたは俺を泣かせてないって言うの？
黙り込むあなたが俺を泣かせてるんだよ？
俺はあなたが知りたいだけなんだ。
あなたの全てが知りたいだけなんだ。
なんだっていい。あなたのことを教えて。
まだ彼のことが好きなの？
俺よりも好きなの？答えて。
あなたが彼のことを好きでも、それ以上に俺はあなたが好きだよ。
答えて。
大丈夫だよ。
大丈夫だよ。
過去でも今でもいいよ。
あなたを形成する全てを僕のものにして。
あなたを縛りたいだけかもしれないけど。
あなたが好きなんだ。
好きなんだ。好きなんだよ。
ただそれだけだよ。
眠ってしまったあなたの横でいつも自分を責めてみるけれどそれすらも楽しいんだよ。
明日の朝もまた聞いてしまうんだろう。
ねぇ、誰が好きなの？
そしてかさぶたを剥がすようにまた愛を語るんだよ。
愛してるよ。
だから胸が痛いよ。