痛いよ
*「痛いよ」*
「ねぇ、昨夜は何してた?」
俺の質問に目を丸くして、一呼吸置くと彼はにっこりと笑った。
「友達と飲んでたよ」
「友達?俺の知ってる人?」
「お前の知らない人。高校時代の同級生」
「何で急に?あなたの学校は静岡でしょ?こっちで勤めてるの?」
「出張だって。たまに来るんだよ?その時は一緒に飲むの」
矢継ぎ早の質問にもにっこりと笑ってあなたは答える。
俺知ってるんだよ。見たもの。
優しく肩を抱く彼と嬉しそうに笑ってるあなたを。
まるで恋人みたいだった。
そのまま見ていられなくて帰ってしまったけど。
昔はそうだったんでしょう?
あなたの意地悪で優しい友達が教えてくれたよ。
好き同士なのに別れたって。
どっちにも未練があるからまたくっつくんじゃないかって。
未練があるのに彼の元を離れたって。
何でなの?
俺を捨てて元に戻るの?だから会ってたの?
俺が何にも知らないと思ってるの?
あなたが思ってるほど馬鹿でも間抜けでもないんだよ?
優しいあなたは、極力昔の話を避けるよね
俺に聞かせたくないんでしょ?
無理だよ。だってあなたが好きだもの。
だから俺は知りたい。あなたのことは何でも。
俺にとって辛い過去でもいい。
あなたのことをもっと教えて。
もっと俺の心を傷つけて。抉ったって構わないんだよ。
あなたのことが知りたくて、あなたをずっと見てるんだよ。
あなたの好きなものは何?嫌いなものは何?
あなたの好きな言葉は?曲は?花は?色は?
あなたの許せないものは何?
あなたの初恋は?
キスを教えたのは誰?
初めてのSEXは?
女とも寝たの?俺は何人目?