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赤いポルシェの女・・三人同時初体験

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「このボディ、スベスベの肌、柔らかなライン。それにこの可愛いミラー、逞しいタイヤ、何もかもサイコー!」
 絶賛するKを尻目に、女は車に乗るとエンジンを噴かせた。ダッダダ~、心地よいエンジン音が広がり、ボディが小刻みに震える。うっとりしたKは叫んだ。
「このポルシェ!一度でイイから乗ってみたい!」
 サングラスをかけた女が微笑んだ。
「そんなに乗ってみたい?・・そうね、君たちが大学に合格したら、乗せてあげようかな?」
「乗せてもらえるんですか!ホントですか!合格したら乗せてもらえる!ヤッター!」
 Kは飛び上がった。残りの二人も目を輝かせた。女は女王然と頷いた。
「・・ただし、第一志望に合格すること。」
 三人は飛び上がって喜んだ。
「合格します!頑張ります!頑張って第一志望に合格します!」
「じゃ、そのときは連絡して・・」
 名刺を取り出した女の目が?!になった。何と、彼らはフルチンなのだ。飛び上がったときにタオルを落としたのである。男の一物は敬礼している。ニヤリと微笑んだ女はアクセルを踏んだ。
「フフッ・・オトコにしてあげてもイイわよ。バイバイ~」
 呆気にとられて立ち尽くすフルチン三人組、赤いポルシェはダッダダ~と轟音を響かせて林道を下っていった。



「オトコにしてあげてもイイわよ。」
 三人の頭にその言葉が反響した。オトコって何を意味するのか、女は何を言おうとしたのか、彼らは声を出して何度も復唱した。突然、Sが素っ頓狂な声を上げた。
「それって、セックスさせてくれることだよ!志望校に合格したら、お姉さんがやらせてくれるんだ!」
 瞬間、上気した女がタオル一枚で横切るスローモーションが蘇った。垣間見えた乳房、つややかな下腹部、甘美な匂い。Sはヤルゾー!と有頂天になり、Aはまさか?と半信半疑、Kはポルシェに乗ると張り切った。
 それ以後、彼らの受験モチベーションは一気に上昇した。二学期になると朝六時~夜九時の居残り学習で猛勉強した。眠くなると、Sは妖しく誘う女を、Aは湯上がりのピンクの裸体を、Kは赤いポルシェに乗る自分を想像した。その結果、年末模擬試験で志望校判定がEからBに飛躍した。三者面談で担任は「何があったんですかね~」と首を傾げ、彼らの家族は息子の激変に狐につままれたようであった。
 翌春、彼らは見事志望大学に合格し、待ってましたとばかり女のところに電話したのである。
 突然電話をもらった女は、彼らが誰か分からなかった。受話器の向こうで、しどろもどろの敬語で話す若者がいる。
「あの~失礼します。・・僕たち、去年の夏、露天風呂でお会いした者ですけど、覚えていらっしゃいますか?」
 露天風呂と聞いて、女はア~あのときの高校生と思った。代表が電話をかけて仲間が側にいるようである。
「・・その時、志望校に合格したら、車に乗せてあげるっておっしゃったんです。その一言で、僕らは死に物狂いで勉強し、おかげで第一志望に合格しました。だから、お会いして三人でお礼を言いたんです。・・それから」
 高校生を可愛く思って、別れ際にそのように言った記憶がある。
「覚えているわ、君たち三人組。志望校に合格したら私の車に乗せてあげるって言ったわ。それで君たち、三人とも第一志望に合格したのね。凄いじゃない、おめでとう!」
 電話口に安堵の気配が流れ、何やら押し問答しているようであった。代表が意を決したように尋ねた。
「あの~それから、実は~オトコにしてあげてもイイとおっしゃたんですけど・・」
「そんなこと、私が言った?!」女は気色ばんだ。
 電話口は落胆した様子で、代表が慌てて謝った。
「ダメなら、ダメならイイんです。無かったことにして下さい。失礼しました。ただ、合格したのはお姉さんのおかげですから、ぜひとも皆でお会いしたいのです。一度、会っていただけますか?」
 自信無さ気に申し出る高校生を可愛いと思った。自分の一言で発奮して第一志望に合格したのなら、こんな嬉しいことはない。自分のほうがお祝いしなければならない。善は急げ!女はその場で日程を調整し、翌週末にK駅で会うことを約束したのである。

 「オトコにしてあげてもイイわよ。」
 もしかして・・と女は思った。この台詞は、彼女が遊んでいた頃、タイプの男を誘うのに使ったことがある。今はパパがいるから自粛しているが、その頃は怖いもの知らずで遊びまくった。好ましく感じた高校生に口を滑らせたかも知れない。
 パパに囲われて一年余り、これといった仕事もなく、パパが来るのを待つ生活で、若い身体を持てあましていた。週に一、二度訪れるパパは疲れていて、昔のように激しく求めない。女の身体に火をつけるのは男で、どれだけ燃えるかは男次第だと思っているが、パパはテクニックがあっても情熱とパワーが不足している。パパの年齢と立場を考えればやむを得ないが、若い女はもっと情熱的に求められたいと思っていた。
 それにしても・・と高校生のことを思った。高校生って、あんなに明るく元気で爽やかなものなのか。心も身体も新鮮な果実のように初々しい。三人組のキラキラした眼差し、張りのある声、水泳で鍛えた身体、伸びやかな手足、ピンと張ったお尻、それに男の物は一人前であった。それは新鮮な魚のようで、いやらしさがなく、清潔で可愛い。それに比べてパパは・・
 これまで女は色んな男とつき合ってきたが、どれもガッシリした親父タイプであった。父の味を知らないからだろう、腰回りの薄い若い男は頼りなかった。男は強く逞しく女を優しく保護する者でなければならない。しかし、女は高校生と話して、あどけなさの残る、初々しい少年もイイかなと思った。彼らはまだ女を知らない、オトコになりたいと熱望している。
 女は露天風呂での別れの場面を思い出した。タオルを落とした彼らは、幼い顔に似合わず見事な一物を起立させていた。あれってどんな風にオトコになるのだろう、女は露骨な想像に思わず赤面した。



 観光客で賑わうK駅は平日でも混雑している。
 女はバスの発着する北口を避けて、タクシー乗り場の南口を指定した。遅刻常習のKもこの日ばかりは一番乗りで、彼らは半時間も前に全員揃った。その日は早春の変化の激しい天候で、三人の服装はブレザー、セーター、ベストとまちまちだった。
 約束の時間に少し遅れて赤いポルシェが現れた。女は黒いパンツに車と同じ赤のセーターとブーツで決めていた。そのうえ、濃いアイラインに赤いルージュ、ピンクのマニキュアだったから、田舎者の彼らは圧倒された。赤で統一された女のお洒落なファッションは、赤いポルシェと相まって、誰もが振り返る華やかさだった。
 挨拶もそこそこに念願の車に乗り込んだが、彼らは普段のようにはしゃがなかった。赤で統一した妖艶な女に気押されて声が出なかったのである。助手席でハンドルや計器をチェックするはずだったKも、身体に張り付いたセータの胸の脹らみや赤い唇が気になって、憧れのポルシェに集中出来なかった。