CHARLIE'S 23
「ルーズベルト君・・・私は・・・私は夢を見ているのかね?・・・一体、此処ニューヨークで何が起きているんだ?見てみろ・・・物凄い数の犬たちがこっちに向かってくるぞ」
「えっ!」
パーク・アヴェニューはセントラルパークの2ブロック脇を抜ける大通りだ。
数キロに及ぶ真っ直ぐな大通りが犬達で埋め尽くされていた。
先頭にはチャーリーズ・23の面々が立っていた。
ルーズベルトはその光景に驚愕したが、不思議な事に気づいた。
「物凄い数の犬だ・・・一体、どこから・・・いつの間に・・・」
「ルーズベルト君・・・どうする?これだけの犬・・・警察でも手に負えないだろう。処置できるのかね」
「大統領・・・不思議に思いませんか?」
「不思議?・・・確かにこれだけの数が揃う事自体、信じがたいよ。夢を見ているようだ」
「はい。大統領のおっしゃる通りです。数も驚きですが、統率が取れています。まるで訓練されたみたいだ・・・これは、何を意味するんだ・・・」
突然、チャーリーは駆け出すと、リムジンの上に飛び乗った。
SPが銃を抜こうとしたが、ルーズベルトがそれを制した。
「待て・・・何が起きるか見届けよう」
チャーリーJr.は摩天楼に向かって吼えた。
「ワオオオォ〜〜〜ワオオ〜〜〜〜〜ン!」
チャーリーJr.の遠吠えに呼応するかのように、北のセントラルパークから遠吠えが届く。そして、南のミッドタウン。イーストサイド・・・ウエスト・サイド。
ホテルは15万匹の犬達ですっかり囲まれてしまった。
そして、ジワリジワリとキャンドルの炎が蝋を溶かしていく様に押し寄せてきた。
車で逃げようとした記者もいたが、車の鍵はすべてペスカトーレファミリーによって抜き取られていた。人間達は出口を封じられた。カメラマンが逃げ惑いながらも写真を撮っていた。その後を記者が縋る様に追っている。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ