CHARLIE'S 23
カメラマンや記者達は、恐る恐る近づくと、遠目で中を覗き込んだ。
車内に人影が無い。
「やっぱり・・・誰も乗っていないぞ!・・・・ゴースト・カーだ・・・幽霊だ!」
「ガラ、ガラ、ガラ・・・・・・・ガラガラガラ〜〜!」
「キリキリキリキリキリーーッ・・・」
突然、エンジンを唸らせながら急発進したT型フォードのタイヤは空転し、白煙が舞い上がる。白煙を上げながら報道陣に向かって突進して行った。
報道陣は泡を喰らった。
「うわっ!こっちへ来る!・・・逃げろ!」
「キリキリキリキリキリーーッ・・・ガラガラガラガラーッ」
「逃げろ!・・・・逃げろ!・・・幽霊だ!・・・ゴーストだ!」
「キキキーーッ」
T型フォードは、ホテルの前に停車しているリムジンの手前で急ブレーキが掛かった。
そして、リムジンのバンパーに・・・コツン・・・と当たって停車した。
ゆっくりとドアが開く。
報道陣は固唾を飲んだ。
勇気あるカメラマンがストロボを焚いてカメラに収めていく。
ハチベェが降りた。ベッちゃんが降りる・・・そして・・・チャーリーJr.がT型フォードから降りた。
皆、唖然として身動きが出来ない。
誰もが、目の前で起きている現実を理解できなかった。
SP達はフーバー大統領とルーズベルト州知事を守るべく、二人を囲むようにして、銃を構えた。
構えても、相手は犬三匹だ。大統領に飛び掛からない限り、発砲する気は無い。
T型フォードをチェックしたSPが大声を出した。
「ほ・・・他には誰もいません!・・・その三匹だけです!」
「犬が運転してきたと言うのか?・・・・信じられない」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ