CHARLIE'S 23
その先頭に立っているのは、グレイハウンド。
紛れもないマフィア犬のペスカトーレだった。
大きな体躯を揺さぶって歩いてくる。
マフィア犬の怖さを知っている犬達は、脇に寄って道を空けた。
「あ・・・あれは、ダウンタウンのペスカトーレよ!・・・何の用なの?邪魔しに来たのかしら・・・」
タカコが訝しげにシッポを下げた。
セントラルパークに緊張が走った。
200匹程の純血種がカツッ、カツッ、カツッ、と、爪の音を束にしてやってきた。
マフィア犬。
それだけで他を威圧する雰囲気を持っている。
それが徒党を組めば、周囲は沈黙を守るしかないだろう。
「あっ!やっぱり来たっちゃね!」
「ベッちゃん・・・やっぱりとはどういう事だ?ペスカトーレと何かあったのか?」
「ちょっとだけね・・・ちょっとだけっちゃ」
ペスカトーレとチャーリーJr.が対峙する。
周囲は徒ならぬ雰囲気に固唾を呑んで見守った。
最初に口を開いたのはペスカトーレ。
「ベッちゃん・・・だったな」
「そうっちゃ!」
「この前は助けてもらって感謝している」
「良いっちゃよ〜。当たり前の事だっちゃ」
「それが、俺達には当たり前じゃなかったんだ・・・今までは、な・・・チャーリーJr.・・・俺達も仲間に入れてもらえるか?」
「どういう風の吹き回しだ?」
「先日、このベッちゃんに助けられた。それに、青い車に捕らえられていた連中も・・・俺達が銃で撃たれそうになった時、皆で助けてくれたんだ。自分が殺されると思った時・・・凄く怖かった。正直に言って、体が震えたよ・・・こうしている間も、あの煙突からは黒い煙がモクモクと上がっている。犬達を・・・いや、仲間を救いたい。一緒に戦わせてくれ」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ