CHARLIE'S 23
「呼んだのはお前か」
「ふっ・・・お前か・・・とは恐れ入ったね」
「高級車に乗っているからといって、お前は、お前だろう。名前を呼んで欲しければ名乗れよ」
「ふぁっ、はっ、はっ・・・お前、何処の田舎者だ?ニューヨークに棲んでいて、この俺を知らないのか?
「知っていたら、名前を呼んでやるよ」
「ふざけた野郎だ・・・名前を言え」
「声をかけたのはお前が先だ。悪いが、急いでいるから・・・行くぞ」
「おい・・・舐めた真似したら後悔するぜ」
「舐めるのも仕事の内だ・・・じゃあな」
「はっ、はっ、はっ!・・・面白いヤツ・・・西は保健所の車がうろついているぞ」
「そうか・・・ルイス、ラム・・・行くぞ」
三匹はストリートを南に向かって走り出した。
「パパ・・・さっきのハウンド犬・・・誰なの?」
「ペスカトーレ」
「ペスカトーレ?パスタ?」
「ハハ・・・ルイス。冗談は、それで最後にしろ」
「どういう事?」
「ペスカトーレはギャングのボスに飼われている飼い犬の名前だ。このニューヨークの犬界のボスでもある。あいつに、あなたはパスタですか?なんて言ったら、命はないぞ・・・ハハハ」
「うそ〜〜。だって、パパ、さっきは知らない人みたいに・・・・」
「ルイスも大人になったら分かるようになるさ・・・駆け引きって言うんだ」
「かけひき・・・?」
「そうさ・・・相手がどんなヤツであろうが、弱みを見せたら負けさ・・・ヤバイ!青い車だ!ラム、ルイス!隠れるんだ!」
三匹は咄嗟に道路わきの植え込みに飛び込んだ。
青い車が、ガラガラ・・・とエンジン音を轟かせながら北上してくる。
チャーリーJr.達は植え込みの中からその様子を窺った。
チャーリーJr.は、慌ててラムの目を覆った。
「ラム・・・見るんじゃない!」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ