CHARLIE'S 23
「ブラックマンデー」からひと月が経とうとしていた。
昼間は保健所の青い車が走り回っているため、捨て犬たちは夜を待って行動した。
彷徨える捨て犬たちがウェスト・リバーサイドに増えつつあった。だが、それが保健所の青い車に見つかるのも時間の問題だろう。
「様子を見に行ってくる。危ないから、お前達はここに居なさい」
「そんなぁ!・・・僕も付いて行く!夜だから保健所の青い車も来ないよ」
「私も行く!・・・だって、ここに一匹じゃ淋しいもの」
「仕方ないな・・・パパから離れないって約束できるか?」
「うん!」
「はい!」
「よし・・・じゃあ、表通りに出よう」
チャーリーJr.達は、一旦、裏のドアから出ると路地を伝って表通りに出た。
月夜だ。足下は明るい。
クラブの駐車場は満杯で、路上にまで車が溢れている。
高級車がずらりと並んでいた。
ニューヨークの財界、政界・・・そしてギャングの車だ。
チャーリーJr.は車の影を伝って表通りに出た。
後ろから声を掛けられた。
「おい・・・そこのビーグル」
チャーリーJr.はとっさに振り向くと、ルイスとラムの前に出た。
楯になる。
高級車の窓から細長い鼻先が出ていた。
グレイハウンドだ。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ