CHARLIE'S 23
「お兄ちゃん・・・クマは出ないよね」
「ここまで来たら大丈夫だろう」
「オオカミは出ないかな・・・」
「クッキー・・・大丈夫だよ。オオカミは森にしか出ない」
「だったら良いけど・・・僕らよりも足が速くて凶暴だってさ。群れで襲うらしい」
「きゃ〜〜!・・・怖い〜!」
「もし、オオカミが出たら僕が守ってやるよ」
「ほんと!?お兄ちゃん、ほんとに守ってくれる?」
「当たり前だろう・・・オオカミだろうがクマだろうが・・・僕が守ってやるさ」
「でも、真っ先に逃げたのは・・・お兄ちゃんよ」
「バカ・・・それも皆を守るためさ」
「傍にいてよね・・・お兄ちゃん」
「ああ・・・傍にいる」
「いいなぁ・・・僕も兄弟と一緒に暮らしたかったな・・・」
「クッキーは何匹兄弟だったの?」
「4か5 。小さかったからハッキリ憶えていないよ」
「クッキー・・・」
「何?・・・ラム」
「今、幸せ?」
「うん!・・・アマデウスさんは優しい人だし、いつも一緒だから淋しくないよ・・・何だか、アマデウスさんに会いたくなってきた・・・」
「真っ直ぐ帰ろう」
「うん・・・おうちへ帰ろう!」
「帰ろう!」
太陽が西へ沈みだした。
紅葉も終わりかけた森の色彩が、夕陽を浴びて絵の具を足した様に際立った。
三匹は線路の上を、夕陽に赤く染まりながら歩き続けた。
遠くにマンハッタンが見えてきた。ミッドタウンには天まで届きそうなビルが出来つつある。
「何だか凄いビルが建つんだってね。雲まで届くらしいよ」(※エンパイアー・ステート・ビルディング、1931年竣工)
「そんなに高いビルを作ってどうするんだろう?」
「でも、出来たら、頂上まで登ってみたいな」
「僕はいやだな・・・そんな高いところシッポが下がりそうだ」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ