CHARLIE'S 23
「クッキーは臆病なんだから〜そんなんじゃ、ガールフレンドも出来ないわよ」
「・・・いいさ・・・そんなの、出来なくっても。それに、この街に何時まで居るかも判んないし・・・」
「えっ!・・・・クッキー・・・どっか行っちゃうの?」
「アマデウスさんは世界中を回っているからね・・・コットンクラブの仕事が無くなったらまた何処かの街へ行くんだと思うよ」
「え〜〜っ!・・・そんなの嫌だぁ〜せっかく、お友達になれたのに・・・」
「でも暫くはニューヨークだと思うよ。だって、来たばかりだから・・・へへッ」
ルイスの足が止まった。
「どうしたの?・・・お兄ちゃん」
「ラム・・・僕の後ろに回れ・・・オオカミだ・・・早く!」
ラムは言われるままに後ろに回ると、ルイスの頭越しに線路の先を見た。
三角に尖った耳、長い口先、分厚い胸板と括れた腰。強靭そうな太腿と、太くて長いシッポは明らかに犬ではなかった。
「オ・・・オオカミ!?」
「うん・・・あれは犬じゃないよ・・・オオカミだ・・・」
「キャ〜!・・・どうしよう・・・一匹だけ?オオカミって集団で襲うんでしょう・・・だったら、他にも沢山居るんじゃない・・・怖いよ〜」
「クッキー・・・ラムを頼む」
「頼むって・・・ルイスはどうするんだよ」
「僕がオトリになるからラムを連れて逃げてくれ」
「そんな!・・・そんな事、出来ないよ!」
「言う通りにするんだ・・・でなきゃ、みんなやられる」
「お兄ちゃん!・・・イヤだ!そんなのイヤだ!」
「良いから・・・僕だってチャーリーJr.の子だ。簡単にやられるものか。クッキー・・・ラムとマンハッタンまで全力で走るんだ」
「イヤだ!・・・そんなのイヤだよ・・・お兄ちゃん!・・一緒に逃げようよ!」
「ラム・・・たまには僕の言う事を聞け。クッキー・・・ラムを頼んだよ」
「お兄ちゃん・・・」
心臓の心拍数が急激に上がり、舌が出た。
ルイスは腰が落ちそうな程、怖かった。恐怖で足が震える。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ