CHARLIE'S 23
第14章・スタンド・バイ・ミー
ニューヨーク州の外れにロックランド群という所がある。オランダ人が入植するまではネイティヴ・インデアンの聖域であった。
広大な森が広がっている。盛りを過ぎた紅葉がセピア色に変わりつつあった。
ルイスとラム。そして、クッキーの3匹はその中にいた。
「ねえ、お兄ちゃん・・・ここは何も変わったところは無いみたいよ。のんびりしているし、飼犬達も何だか幸せそう」
「そうだな・・・やっぱり都会とは違うね・・・来るところを間違ったかな。捨て犬なんか居そうにないね」
ゆったりと間隔を空けて立ち並ぶ家々は、決して豪華ではないが手入れがされていて、庭には秋の花々が美しく咲いていた。住んでいる人間の実直な性格が窺えるようだ。
家々の前には飼い犬たちが晩秋の太陽を愉しんでいた。
「あの犬たちを誘ってみる?」
「僕が行ってみようか」
「うん。頼むよ、クッキー」
ログハウスがあった。
その前に大型のミックスが3匹、日向ぼっこをしている。
クッキーは怪しまれないように、シッポを立てて笑顔で近づいた。
この区域は、あと半月もすれば雪で覆われる。
3匹のミックスは陽射しに薫る草の匂いを愉しんでいるようだった。
「あの・・・こんにちは」
「やぁ・・・ビーグルだね。こんにちは・・・何処から来たんだい?」
「はい。向こうの2匹と一緒に、マンハッタンから・・・」
「そりゃあまた遠くから来たもんだ・・・まさか迷ったんじゃないだろうね。この辺はオオカミやクマが出るから気をつけるんだよ」
「えっ!・・・クマ?」
「そうさ、君の10倍はあるやつさ・・・万が一出くわしたら一目散に逃げるんだよ。オオカミが出たなら・・・」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ