CHARLIE'S 23
「チャーリーJr.・・・チャーリー・・・」
誰かが呼んでいる・・・チャーリーJr.はハッと我に帰った。
・・・・・白昼夢。
「大丈夫ですか?」
「あ・・・うん。大丈夫だ」
「もう少しで埠頭です。それに、間も無く陽が沈みます」
「よし!・・・行くぞ」
「はい!」
チャーリーJr.は、迫り来る危機がとてつもなく大きなものに感じた。
東から月が昇り始めている。
チャーリーJr.とジムは埠頭の広場に向かった。
広場にコンテナが積んである。
チャーリーJr.はその上に登ると月に向かって吼えた。
「ウゥオオオ〜〜〜〜ン・・・・ウオ〜〜〜〜ッ」
倉庫の影から犬達が静かに歩み寄ってきた。
「ウゥオン・・・・ウゥオ〜〜〜〜ン」
犬達が吸い寄せられる様に、コンテナの周りに集まってきた。
最初は数匹だけだった。だが、次第にその数は増えていき、いつの間にか数千匹の大集団になった。
ジムはコンテナの下からチャーリーJr.を見上げていた。
ジムにはチャーリーJr.達がやろうとしている発起は不可能だと思っていた。
不可能だとは思っていたが、命を助けられた経緯がある。その恩に報いたくて手伝ってきたのだ。
しかし、目の前の光景を見て、この犬ならやれるかも知れないと思った。
そう思うと、嬉しくなった。そして、チャーリーJr.に合わせてジムも吼えた。
「ウゥオオオ〜〜〜〜ン・・・・ウオ〜〜〜〜ッ」
ブルックリン区は一つになった。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ