CHARLIE'S 23
「うん。殺さないんだよ。訓練した猟犬を使ってのゲームさ・・・唯の犬好きでは無く、動物に優しい人なんだと思う。ルーズベルトはニューヨーク州知事に就任したばかりだけど、既に次期大統領候補に挙がっているんだ。彼が大統領になったら、僕達の環境も良くなるかもしれないね」
「でも、それなら、何故?・・・・チャーリーJr.・・・しかも子供まで一緒よ。どうして捨てられたの?ルーズベルトが愛犬家だったらそんな事はしないはずよ」
「だから・・・言えなかったんだ・・・そこが分からなくてね・・・でも、普通のビーグルよりも長い耳。この額の感じ・・・どう見てもチャーリーJr.じゃないか?」
「確かに・・・彼はノラじゃないわよね・・・訓練を受けた犬って感じだわ・・・」
「アランの言う通りだよ・・・俺の元の飼い主は今のニューヨーク州知事さ」
「うあっ・・・ビックリした・・・チャーリーJr.・・・来ていたの?」
「うん・・・今しがたね」
「事情を聞いても良いかしら・・・?」
「うん・・・実はね・・・・」
チャーリーJr.は、二年前にベアー・マウンテン・ステート・パークで起きたハプニングを話した。
チャーリーJr.達がニューヨークに戻った時には、フランクリンは選挙の為にアパートを引き払い、ワシントンへ行っていたのだ。
そんな時にデュークと出会った。
「チャーリーJr.・・・州知事は・・・今、ニューヨークにいるのよ。会いに行かないの?」
「うん・・・それは知っているよ。でも、今はデュークが家族だから・・・フランクリンさんは、今回の発起を見たら、動いてくれると思う」
「その為の犬集めなのね」
「うん。何が何でも振り向いてもらわないと・・・フランクリンさんは実力者だ。大統領だって耳を傾けてくれるかもしれない」
「無言の・・・抗議というわけね」
「そうさ・・・正しい喧嘩は血を流さない事・・・戦いでは何も解決しないよ。あの時だってそうだった・・・・ブラック・ベアーは俺達に言ったんだ・・・争いは無意味だから、逃がしてくれ・・・ってね。僕らはブラック・ベアーの言うとおりにしようと決めた。でも、フランクリンさん達が現れた。彼達はブラック・ベアーを殺して俺達を守ろうとしたんだ。だから、僕はクマに飛び掛って川に落とした。あのままだったらライフルで撃たれていたかもしれないからね。滝つぼがあったのは計算外だったけど・・・」
「そうだったのね・・・・で、ブラック・ベアは助かったの?」
「うん・・・僕より先に気がついたらしく、森に入ったみたいだ」
「どうして分かるの?」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ