CHARLIE'S 23
ベッちゃんは当日使うフォードの整備に余念が無い。日頃は飼い主に忠実なベッちゃんだが、今回だけは仲間の為に車を一台、拝借するつもりだ。
小柄なベッちゃんでも運転が出来るように、ペダルに細工を施していた。
その合間を縫って、例の「訛り言葉」で仲間を募る。大忙しの日が続いた。
セレブなアイドル犬、ソラは、普段の退屈な暮らしが一変した。
スリリングな役割を嬉々としてこなした。高級ホテルをキュートな腰を振りながら渡り歩く。ソラが作るグループは何故かオスばかりだった。
モモコとココも飼い主のアイリスがレストランを経営しているお陰で顔が広い。パーク・アヴェニューを南北に何度も走っては、顔見知りを説いて回った。
ブロードウェイの店XXX(トリプルX)は、どの店も何時に無くフィーバーしていた。
元々、お祭り好きのゲイ犬達は、この決起をカーニバルとしか捉えていないようだ。
この機会にゲイ犬の市民権も主張しようと言う意見が相次ぎ、サンを困らせていた。
だが、数だけは目標の2,000を直ぐに超えた。
サン自信、ニューヨークにこれだけのゲイ犬がいたとは信じ固かった程だ。まだまだ集まってくる。
サンネェは小指を立てて、嬉しい悲鳴を上げた。
オフ・ブロードウェイは、どれもが小さなシアターという事もあり、結束するのも早かった。
三匹のスター犬(アヅキ、ペコ、ハナ)の誘いを断る犬は一匹もいなかった。
一見、動きが無い様に見えたのが、セントラルパークとハーレムだ。
ハーレムは人の目につきにくいという立地が幸いした。それにも増して、ブードゥーの力が大きかった。ブードゥー教の信者は世界で5,000万人を超す。ここ、ニューヨークだけでも2,000を越えるブードゥー犬に連絡がついた。何処よりも強い結束力のグループが出来上がったが、派手な衣装が目立ちすぎる。
ラムとルイスは北へ向かった。
2年前に北のベアー・マウンテン・ステート・パークで親子共々迷子になってしまった。それから1ヶ月かけてハーレムに辿り着き、コットンクラブのデュークに拾われた。その放浪時代に係りを持った犬達を訪ねる事にしたのだ。
クッキーも一緒に線路を伝って北へ向かった。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ