CHARLIE'S 23
「ハハハ・・・まだ知事にもなっていないんだ。気が早すぎるよ」
「そんな事は無いさ・・・。フランクリン・デラーノ・ルーズベルトを大統領にするのが僕とスティーヴンの夢なんだ」
「壮大な夢を描いたものだな・・・ハハハ」
「それにしても、犬達は遅いな・・・普通なら、舌を出して戻って来る頃だが・・・・」
「そうだな・・・確かに遅いな・・・ちょっと捜しに行って見るか」
「ああ、そうしよう。森は熊が出る可能性がある。実弾を持って行こう」
3人はライフルに実弾を込めると、予備の弾をポケットに押し込んで犬達の後を追った。ジャックのライフルの銃床が、子犬が入っている籐籠に当たりバランスを無くした。
男達は小走りで森へと入っていった。
子犬が動いて籐籠が草むらに落ちた。二匹の子犬は籠から抜け出すと、尻尾を振りながらブッシュに入っていった。
その頃、森の中では7匹のビーグルが、ブラック・ベアーを川縁に追い込んで吠えまくっていた。
立ち上がったブラック・ベアーは2メートル近い。ロッキーに棲むグリズリーに比べれば大人しい方だが、クマはクマである。長い爪を振り回しながら咆哮を放った。
三人は森の奥から聞こえる犬達の異常な鳴き声を追った。
7匹の猟犬はチームワークでブラック・ベアーを川縁に追い込んでいた。川は激流が走っている。それは、その先に滝つぼが在ることを意味していた。
男達が走り寄る。
距離は50メートル。
フランクが腰を落としてライフルを構えた。
「皆、退くんだ!」
フランクは照準を合わせ、トリガーに指を添えた。
一匹のビーグルがブラック・ベアー目がけて飛び掛った。
バランスを無くしたブラック・ベアーが激流に落ちた。そして、飛び掛ったビーグルも同じく激流に飲み込まれていった。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ