CHARLIE'S 23
「チャールズ!・・・チャーリー!」
フランクはライフルを投げ捨て、川縁に走り寄った。
ブラック・ベアーとチャーリーの姿は何処にも見えなかった。
「フランク・・・・残念だが・・・諦めろ。もう、滝つぼに落ちている・・・残念だが・・・・」
「くそっ・・・・何て事だ・・・」
三人は残った6匹の猟犬を連れて車に戻った。
フランクが慌てた。籐籠が草むらに転がっている。2匹の子犬が居なくなっていた。
「ああ・・・何ていう事だ・・・チャーリー・・・ルイス、ラム・・・ごめんよ・・・」
ジャックとスティーヴンがフランクを慰めた。
フランクは天を仰いで涙を流した。
フランク達は、日が暮れるまで辺りを探し回ったが、子犬たちを発見することが出来なかった。コヨーテの遠吠えが聞こえる。フランク達は捜索を断念して帰路に着いた。
チャーリーは冷たい水に頬を打たれて目を覚ました。
一瞬、体に痛みを覚えたが然程のダメージは無かった。体をブルブルと振って水を弾き飛ばす。
空を見上げると満天の星が煌いていた。巨大なアメリカ杉の上には満月が昇っている。どれだけ気を失っていたのだろう。
チャーリーは敏感な鼻に神経を集中させたが、微かな仲間の匂いすら届いてこない。一体、此処が何処なのかも分からなかった。
チャーリーは仲間の匂いを捜しながら、限りなく広がる草原を彷徨い歩いた。
ふと・・・前方で小動物が走る音が聞こえた。
首を傾げ、耳を捲るようにしてその音を拾う。
注意しないと聞き逃しそうな小さな音だった。
「カサ・・・・カサ・・・カサカサ・・・」
ヘビが地を這う音にも似ている。
「カサカサ・・・カサ・・・・」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ