CHARLIE'S 23
「それにしてもフランクは変わっているよ。実弾を入れないで薬きょうだけなんてさ」
「まぁ、そう言うなよ。遊びでキツネを殺すわけには行かないさ。犬達は充分にハンティングを楽しんでいるよ」
「でも、空砲で撃つだけなんて・・・それで満足なのかい?フランク」
「ああ、充分だね。この大自然に囲まれて、犬たちとチームワークで猟をする。最高だよ」
「でも・・・ハンティングになっていなよ・・・ハハハ」
「ハハハ・・・僕にとっては立派なキツネ狩りさ・・・・犬たちが戻ってくるまでコーヒーでも飲もう。シガーもあるぞ」
「シガーの相棒はウイスキーといきたいところだがね、フランク」
「仕方がないさ・・・法律なんだ」
「流石に、元マンハッタン随一のロイヤーだな・・・お堅いヤツだ」
「ジャック、スティーヴン・・・ウイスキーは無いが最高の葉巻だぞ」
三人はコーヒーを啜りながら、シガーの香りを楽しんだ。
初秋のニューヨーク郊外は青空が眩しい。フランクは後部シートの籐籠に入った二匹の子犬を触りながらコーヒーを啜った。
「それにしてもフランクの犬好きも半端じゃないな・・・そんな子犬まで猟に連れてくるなんて・・・」
「英才教育さ・・・経験は早いに越した事は無いよ」
「名前はあるのか?」
「勿論さ・・・・男の子がルイス・・・女の子がラムだ」
「父親は?」
「今、キツネを追いかけていった集団の中さ。チャールズだ」
「参ったな・・・ハハハ・・・元、副・大統領と同じ名前じゃないか。チャールズ・ゲーツ・ドーズ。そうだろう?」
「ハハ・・・違うよ。同じチャールズでも俳優の方さ」
「ああ・・・チャーリー・チャップリン」
「まあな・・・・・」
「ところで、どうする・・・立候補するのか?」
「ああ、するよ・・・今、アメリカは好景気に湧いているが磐石ではない・・・強いアメリカの礎を作り上げるんだ・・・僕は来年、ニューヨーク州知事に立候補する・・・ジャック・・・それに、スティーヴン。僕に力を貸して欲しい」
「勿論だよ・・・俺達はハーバード時代からの親友だ。必ず君を大統領にするつもりだ」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ