CHARLIE'S 23
第9章・ネゴシエーション(交渉)
ダウンタウンにはイタリア・マフィアの大ボス、ラッキー・ルチアーノが経営する秘密クラブがある。
勘違いしないで欲しい。この時代の秘密クラブとは小さなステージ付きのパブのような所だ。
当然、看板などは無く、表には銃を懐に潜ませた見張りが立つ。
こういった、一見物騒な場所にも拘わらず、ハイクラスの客で溢れかえっていた。今の時代なら、当然、有り得ないシステムだ。
また、ステージで行われるショウは、おおよそストリップ・ショウ・・・・。
またまた、勘違いしないで欲しい。
いくら酒と女とギャンブルの時代でも、倫理観が今とは全く違う。
スッポンポンなど有り得ないのだ。
失望させて申し訳ない・・・・。
ラッキー・ルチアーノの秘密クラブ。
ビルの裏には倉庫のような大型ガレージがあり、ピカピカに磨き上げられた新型フォードと数台のトラック。そして、その腋には箱詰めされた密造酒が山のように積まれていた。
全て、真新しい木箱で、ステンシル(型抜き文字)でOLIVE OILで書かれている。中身は勿論、自家製ウイスキー。正しくドル箱である。
薄暗いガレージの中、チャーリーJr.はペスカトーレと対峙していた。
ペスカトーレの後ろには、屈強そうな純血種が7匹控えており、出口を塞いでいる。
それに対してチャーリーJr.は1匹で挑んでいた。
「お前は・・・コットンクラブで会った犬だな」
「チャーリーJr.だ・・・ペスカトーレ」
「一匹で来たわけじゃあるまい」
「いや・・・俺だけだ・・・だが、俺が1時間で戻らなければ、ここは修羅場になる」
「ふん・・・・所詮、烏合の衆だろう」
「烏合の衆でも数でたたみかけるさ、お前らの10倍の数でな」
「じ・・・じゅうばい!?」
「いや・・・此処を襲うのが10倍だ。その後ろには更に、その5倍の犬達を控えさせている」
「10倍の5倍・・・?おい、ジェイク、何人になる」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ